| 2020/04/14 | 校長先生の初恋物語 第3話 | | by:校長 |
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「学級委員は誰だ」
学級委員といったら、クラスのリーダーです。リーダーと言ったら、足長君に決定です。足長君以外、考えられません。足長君も、当然自分がなるものだと思っていて、
「ぼくがこのクラスの学級委員になったら、このクラスも安心だね。」
と、前髪をかき上げ、キザなポーズをとっていました。何もかもパーフェクト、ちょっときざったらしいところは嫌ですが、足長君だったら、学級委員となり、このクラスを引っ張ってくれるでしょう。でも、ダンプさんが言い出したことは、とんでもないことでした。
「学級委員は、とっくんがいいと思います。」
教室がざわつきました。「えーっ、どうしてーっ。」「ありえないよねぇ。」「足長君でいいのに。」と、みんながひそひそ話しているのが聞こえました。そして、一斉にクラスのみんながとっくんの方を見て、にらみつけてくるのです。別にとっくんが悪いわけではないのに、みんなの冷ややかな視線を浴びて、とっくんは小さな体をさらに小さくして、困ってしまいました。担任のにょろひげ先生も困っていました。足長君がみんなからの支持を集めてすんなり学級委員と思っていたところにダンプさんが余分な一言。にょろひげ先生も、とっくんに、「君には学級委員は無理だよ。」なんて言えません。
ダンプさんの言葉に、鋭く反応したのは足長君でした。
「ちょっと、ダンプさん。勝手に決めないでほしいなぁ。とっくんみたいな気弱な人に、学級委員が務まるわけないじゃん。ぼくが学級委員をやったほうが、このクラスは平和になると思うけどなぁ。ねぇ、みんなはどう思いますか。」
その言葉に、他の全員が大きな声で、拍手をしながら「イェーイ、賛成でーす。」と大騒ぎしました。しかし、ダンプさんは負けてません。ダンプさんはがばっと立ち上がると、みんなにむかって演説を始めました。
「それでは、とっくんと足長君、どっちが学級委員にふさわしいか、選挙をしませんか。選挙だったら不公平ではないと思います。にょろひげ先生、選挙をやってください。選挙で足長君ととっくんのどちらがいいか、はっきりさせましよう。」
ダンプさんの提案に、みんな大喜び。だって結果は分かり切っているからです。クラスの全員が足長君に投票するに決まってます。ダンプさんは、1票も入らないとっくんを笑いものにしたいだけなのです。これも、ダンプさんが考えた、恐ろしい弱虫男の子いじめの1つです。あまりにもひどすぎます。とっくんは、目に涙をいっぱいためながらみんなの大歓声を聞いていました。
何の意味もない、みんなの笑いものとなるだけの選挙が始まってしまいました。
しかし、この選挙によって、物語は意外なことになっていくのです。足長君vsとっくんの選挙、その結果は・・・。そして、とっくんに何が起こるのか・・・。意外なこととは、いったい何なのか・・・。 つづく
次回予告 涙の選挙