| 2020/03/10 | オセロ対決 決着の時が決まる | | by:校長 |
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この1年間で、わたしは6年生のいつきさんと、何度も何度も、校長室でオセロをしてきました。一回目の対決は、まだ暑い暑い夏でした。わたしは、子供相手でも容赦しません。わたしが黒で、いつきさんが白で、最後はオセロ盤の上は、真っ黒で終わりました。いつきさんは「参りました。」と言いながら、教室に戻っていきました。数日後、いつきさんがオセロ盤を持ってやってきました。
「校長先生、オセロをしてくれませんか。」
二回目のオセロも、結果は同じでした。このときは更にひどくて、いつきさんの白は、たったの三枚だけになりました。「参りました。」と言って、いつきさんは校長室を出て行きました。
そんな日が、何回か続きました。最後は必ず、いつきさんの「参りした。」です。大人げないわたしは、「手加減」というものができないんです。
6連勝しました。
そして、7回目も、勝ちました。でも、その時に、わたしは違和感を感じました。それは、圧勝できなくなっていたんです。
8回目も勝ちました。違和感は、もっと大きくなっていました。「あれっ、いつきさんが強くなっている・・・。」
そて9回目、ついにその日がやってきました。最初は真っ黒で、わたしが完全に優勢だったのに、途中で一カ所だけ角をとられたその瞬間、盤の上はあっという間にひっくり帰り、黒くなりました。
その後、いつきさんとの対戦は、五分五分になっていきました。わたしが勝つこともあるし、いつきさんが勝つこともある。結果、わたしは15勝。いつきさんは12勝で終わりました。最後の方は、がちんこ勝負でした。
先週、休校が決まってしまった日、いつきさんが、「最終対決をしませんか。」と言ってきました。のぞむところだ。校長室で、最終対決が行われました。武蔵と小次郎のような戦いです。筋肉マンとロビンマスクのような戦いです。
最初は圧倒的にわたしが有利でした。それなのに、最後はオセロ盤が、真っ白けになりました。わたしは最終対決にやぶれました。
いつきさんはうれしそうでした。
このまま、卒業させるわけにはいきません。
「ちょっと待った。いつきさん。お願いがある。いつきさんの卒業式の日を、最終対決にしませんか。」
いつきさんは、
「おっけー。やってあげるよ。」
くっそー。上から目線だ。
こうして、いつきさんと、わたしの、オセロ最終対決が3月19日の卒業式後に決まりました。
場所は、巌流島のような校長室。
いよいよ決着の時。