| 2020/04/13 | 校長先生の初恋物語 第2話 | | by:校長 |
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「愛の始まり」
「とっくん、どうしたの。元気ないのねぇ♥」
やさしく声を掛けてくれたのは、あこがれのよしこさん、を期待したのですが、残念ながら、よしこさんではなく、なんと、なんと、なんと、男の子いじめで有名なダンプさんでした。
「とっくん、元気ないのね。友達いないんでしょ。気が弱そうだもんね。ダンプが友達になってあげるわよ。」
よりによってダンプさんに目をつけられてしまいました。友達というのは、口ばかりに決まってます。友達と言っておきながら、とっくんをいじめるつもりです。
次の日は苦しい一日でした。ダンプさんがとっくんと友達宣言したため、他の男の子が全く近づいてきません。とっくんから近づいても、ささーっと散ってしまいます。休み時間は、ダンプさんが、すぐにやってきます。
「とっくん、外に遊びに行くわよ。ついてらっしゃい。」
「とっくん、トイレに行くわよ。早くおいで。」
「とっくん、もたもたしないで、早くして。なぐるわよー。」
朝から放課後まで、ダンプさんに振り回され、他の男の子とまったく話すことができません。これがうわさの、これが恐怖の、男の子いじめです。気の弱い男の子を徹底的にいじめるというのは本当です。
教室の真ん中では、楽しそうにマドンナよしこさんが友達と話をしています。またちがうところでは、足長君が、ファンの女の子に囲まれてにやにやしています。そんな幸せそうなよしこさんや足長君を見ていたら、うらやましくなりました。「だれか、助けてくれ・・。」心の中で、ずっとつぶやいていました。
ダンプさんのせいで、ダンプさん以外の人とはまったくおしゃべりができずに一日が終わりました。完全に他の男の子は、とっくんのことを避けていました。そりゃそうです。とっくんのそばには、ダンプさんがずっといるのです。「でもまあ、こんなにつらいのも、今日一日だけだろう。明日になれば、きっとダンプさんもぼくには飽きてしまうだろう。今日一日の辛抱だ。」
次の日もとっくんは、一人ぼっちでした。他のみんなは、あっという間に友達になり、楽しそうにしてるのに、とっくんだけは浮かない顔です。その日もダンプさんのしつこいいじめは続いていたのです。それどころか、ダンプさんの弱虫男の子いじめはパワーアップしていて、突然、とんでもないことを言い出すのです。
その日は、クラスの代表者、学級委員を決めることになっていました。決めるといっても、最初から足長君という雰囲気でした。誰からもリーダーとして認められ、女の子も、男の子も、足長君はあこがれの存在です。ですから、クラスの代表は文句なしで足長君に決まり。足長君も、担任のにょろひげ先生までも、そのつもりのようでした。
にょろひげ先生が、
「学級委員を決めなくてはならないんだけど、もう決まりかな。学級委員は、足長君でいいかな。」
と、みんなの前で言ったそのとき・・・・。ダンプさんはすっと手を挙げて、とんでもないことを言い出しました。その、とんでもないこととは・・・。 つづく
次回予告 学級委員は誰だ