クラスの中で、男女間でもめごとがありました。その後、子どもたちは今後について一生懸命考えました。
「協力平を踊るのに、なんにも協力してないじゃないか。友情ソーランって言いながら、友情なんてないじゃないか。」
わたしから、きつーーいこと言われて、しょんぼりしながらみんなして児童会室にこもり、考えていました。子どもたちの相談の声が、壁の向こうから聞こえてきます。
すると、興生さんが、わたしのところに近づいてきました。黒板の前でしばらくうろうろしていましたが、覚悟を決めて、近づいてきました。
「先生、ちょっといいですか。」
わたしはまるつけの手を休めて、興生さんの方を向きました。興生さんは顔が真剣でした。
「先生は、今のままじゃ協力平や、友情ソーランを踊る資格がないって言ったでしょ。だったら、どうすればいいの。」
わたしはわたしが思っていることをしっかりと興生さんに伝えました。踊りがうまければ、見栄えが良ければそれでいいではないということ。見栄えよりも、心が大事だということ。みんなで助け合って踊りをつくっていくのに、けんかして言い合いをして嫌な思いをして終わる練習が繰り返されるくらいだったら、意味がないということ。「どうだっ。興生君。これで何も言えないだろ。」ぐらいに言いました。ところが一歩も引かない興生さん。
「それはそうなんだけど。でも、今のぼくたちはまだまだできていないのは分かっているけど、でも、そんな協力できる仲間になるために、この協力平と友情ソーランをやらせてほしい。協力できないから、踊らないんじゃなくて、協力できる仲間になってみせるから、踊らせて。練習させて。もう一回挑戦させて。」
興生さんの魂がこもっているような力強い言葉でした。わたしの心にもびんびん響く言葉でした。
「分かった。そんなに言うんだったら、その言葉が言葉だけで終わらないように。みんながどこまで本気なのか、見せてもらおうか。」
興生さんは、児童会室にもどっていきました。
また一人、このクラスのことを真剣に考えてくれる人が現れました。
興生さんがもどり、子どもたちの話し合いは続きました。きっと、興生さんがみんなに何か言ったのだと思います。しばらくして、今度は美舞さんがやってきました。
「先生、明日一時間、わたしたちに時間をください。」
さらに、興生さんはカレンダーを持っていき、帰ってきたら6月24日に○をつけて持ってきました。それがきっと、みんなの本気っぷりをわたしに見せるとみんなで決めた日なんでしょう。だったら、見せてもらおうと思います。みんなが、どこまで心を合わせて向かおうとしているか。みんなの心がみんな同じことを考えているか。このクラスの仲間全員で、本気になってやり遂げようとしているか。
6月24日に、見せてもらおうと思います。