まだ若かりし青年教師時代、学級の子どもたちに、「友だちの大切さ」を伝えたくて、自分の思い出を物語にして、毎日読んで聞かせていたことがあります。その内容は、すべてがすべて、100%実話とはいきませんが、ほとんどは実話です。本年度、久しぶりの学級担任となったので、少しずつ少しずつ、子どもたちに紹介しています。その物語の1話は、こんな感じで始まります。
小柳津先生の初恋物語第1話「物語のはじまり~新学期~」
小柳津先生は、今ではゴリラのようなごつい先生になってしまいましたが、子供のころは、それはそれはかわいくて、とてもちっちゃな男の子でした。小さい順でならんだ時は、いつも一番前。かわいかったんです。友達からは、「とっくん。」と呼ばれていました。そんな、わたしがとっくんと呼ばれていたころのお話です。
とっくんの小学校は、マンモス小学校。全校児童は1000人を超える、大きな学校でした。
とっくんが5年生になったときのことです。クラスがえがあり、とっくんは2組になりました。仲がよかった友達とはちがうクラスになってしまい、新しいクラスの中には、したしく話ができる子が見あたりませんでした。みんながわいわいさわいでいるのに、とっくんは一人ぼっち、教室のすみっこでさみしくすごしていました。「みんな、いいなぁ。楽しそうで。ぼくもみんなと仲良くなれるかなぁ。」
教室の中で、一番大きな声でしゃべっているのは、ダンプさんです。ダンプさんは、女の子ですが、とても体が大きく、ダンプカーのような体をしていたので、みんなからダンプさんと呼ばれていました。そのあだ名はぴったりで、ダンプカーのように学校でも1、2を争う力持ち。当然、ダンプさんにけんかで勝てる人なんて見あたらず、特に男子は、ダンプさんをおそれていました。そのダンプさんが、こんなことを言ってました。
「見て見て、このクラスの男の子。なよなよして弱虫ばっかりね。今年も男の子たちをとっちめちゃおうかなぁ。」
気の弱いとっくんは、おそろしさに体がすくんでしまいました。まわりの男子もそれまで大騒ぎしていたのに、ダンプさんの一言で急にだまりこんでしまいました。仲のいい友達とははなればなれ、さらに男の子をいじめることで超有名な恐怖のダンプさんと同じクラス。お先真っ暗って感じです。。
その時です。教室のドアが勢いよくあいて、一人の少年が登場しました。ダンプさんも、その男の子の登場に、目がハートマークになりました。やってきたのは、マンモス小学校のアイドル、足長君です。とにかくかっこよく、長い足。ちっちゃいとっくんとは大違いです。足長君が長い足で教室の中に入ってくると、あっという間にファンの女の子たちに囲まれていました。大変な人気者です。
人気者の足長君に人だかりができますが、とっくんの方には相変わらずだれ一人来てくれません。いや、たった一人、さみしそうにしているとっくんのところに、ゆっくりゆっくり近づいてくる、女の子がいました。その女の子というのが・・・。
つづく 次回予告 愛の始まり