何年も前のことになりますが、ある本屋さんで、何気なく絵本を手に取りました。それがアンパンマンでした。
私が手にした絵本の中のアンパンマンは、おなかがすいて泣いているかばお君を助けていました。それも、自分の頭をちぎって、かばお君に渡していました。ちぎった頭からは、中のあんこが見えていました。そんなアンパンマンの姿から、アンパンマンからのメッセージを感じました。「自分の身を削らないと、人を助けることができないこともあるんだよ。」ってことを。
その頃、わたしは必死でした。分かっていてもなかなか消すことができない子どもたちの心にあるちょっとした差別の心をなくそうと、子どもたちとがんばっている時でした。子どもの中にクラスから差別の気持ちをなくそうと、がんばってくれる子がいて、その子の姿はまさに、かばお君を助けるアンパンマンでした。みんなからちょっと煙たがられていて、それでも自分の身をけずるようにしてクラスのみんなにぶつかっていく、勇気のあるその子とアンパンマンが重なりました。
昼休みに、花壇のボランティアをしてくれる子がたくさんいるということを紹介したことがありますが、そんな子どもたちはアンパンマンです。本当はみんなと楽しく遊びたいのに、そんな気持ちをちょっとがまんして、1人で苦労しているわたしにかけつけてくれるんです。正義の味方です。本当は、友だちとわいわい楽しいことをしたかったんだと思います。でも、ゴリオ君(わたし)を助けるために、楽しい自分の時間をけずってくれました。
学校内の掲示をしていると、いつの間にか横にいて、手伝ってくれる子もすごく多いんです。ちょっとしたことですが、牧小の子はそのちょっとしたやさしさが魅力的です。
アンパンマンの歌「何のために生まれて、何をして生きるのか~。」その答えはいろいろあると思いますが、その中の一つは「周りの人たちのために生きる」ということでしょうか。すごいことはしなくていいんです。すごい我慢もいりません。でも、ちょっとの我慢は必要なのかもしれません。