運動会が終わって、6年生にラブレター
「桜だな。」って思う。君たちは、桜だ。薄紅色の優しい花。君たちを花にたとえるとしたら、「桜だな。」って思う。
桜の花を見たことがないという人はいないよね。みんな見たことはあるでしょ。春になると必ず咲く花。春の訪れを知らせてくれる花。日本人で桜を嫌いという人はいない気がします。みんなから好かれるという意味でも、君たちによく似ているかもしれない。
でも、先生にはもう一つ、桜が君たちに似ていると感じることがあるんだ。
先生の家の近くにB&Gという体育館がある。体育館の駐車場には、数本の桜の木があり、春になると桜が満開になってとってもきれい。子どもを連れて散歩をして、桜を見に行きます。だいたい桜というのは、手にとって近くで見ることよりも、遠くからながめることが多いよね。先生もそうなんだけど、そのB&Gの桜を初めて見たときには、初めて桜の花びらを近くで見たんだ。花びらの一枚一枚。つぼみの形。幹にも手で触れながら、「へぇ、桜って、よく見るとこんなふうに咲いていたんだぁ。」と、新しい発見もあって新鮮な気持ちになったよ。「きれいだなぁ。」とは思ったことがあっても、どう咲いてるかなんて気にしたことがなかったから、驚きもあった。みんなは、桜がどのように咲いているか知っていますか。
桜の花は、みんな違う方を向いているんだ。右を向いたり、左を向いたり、下向き、上向き、とにかくそれぞれが違う方を向いて咲いているんだ。みんながみんな同じ方を向いているひまわりとはちがう。自分が向きたい、自分が見たいと思う方向に顔を向けている、それが桜の咲き方なんだ。先生知らなかったんだ。
先生が目指したいのは、まさに桜。クラスを任されたら、クラスを桜にしたい。桜って、自分の向きたい方を向いているけど、全体で見るときれいでしょ。ひまわりのように、同じ方を向いて咲いているのもきれいだけど、みんながみんな違った方を向いていても美しいのが桜。花びらは君たちです。一人一人が持っているものは違うのだから、その個性はしっかり持っていてほしい。みんなに合わせて、同じ方を無理矢理向く必要もない。絵が好き、運動が好き、歌が好き、本が好き、ピアノが好き、嵐が好き、サッカーか好き、空手好き、自分が好きなことや自分が得意なものは自分が一番よく分かっているから、自分の個性をまずは大切にしたい。それについては、仲がよくても友達に合わせる必要もないな。桜が自分の向きたい方を向いて、堂々と咲いているように、自分も堂々と個性を発揮すればいい。給食を食べるのがやたら早い、縄跳びが上手、じゃんけんが強い、声がでかい、声が小さい、泣き虫、こんなのも個性。優しい、思いやりがある、負けず嫌い、根性がある、こんなのもいい。堂々としてればいい。みんなが堂々と咲いていれば、遠くから見てもとてもきれいに見える。まさに、桜の木。そんなクラスを作りたい。どうだろう。君たちは桜の木になれてきたかな。
きっとなれたと思う。それを「協力平~絆~」を見ていた思ったよ。
今のみんなは、友達のことをよく分かっている。そして、友達が咲くのをじゃまする人もいないから、みんながおもいっきり咲いた。あちこち向きながら堂々と咲いた。自分勝手ではなく、協力という絆でつながり、すごいことをやり遂げた。まさに、桜の木だ。君たちは、桜の木になっている。そう思うな。
みんなが今度桜の木を見るのは、半年後。中学生になっている。卒業の時には、咲いてくれるかもね。その時には、みんなで桜の木を見てみよう。桜の木を近くで見てみよう。その後、後ろに何歩か下がっていき、遠くから見てみよう。花の一つもきれいだけど、遠くから全体を見てもきれい。「きれいだなぁ。」と感じたら、それは自分たちなんだと思っていいよ。自分たちは桜の木になれたと思いながら、卒業していこうね。