2015/02/13 | 種をまく いつか花が咲く | | by:教頭 |
---|
今年、成人式に行ってきました。
私が以前6年生の担任をした子どもたちが成人をむかえたからです。
立派に成長した姿を一目見たくて。
すばらしい若者になっていました。
どの子も、気さくに「せんせーっ。久しぶりーっ。」と来てくれて。
当時のクラスメイトがみんな集まってきて、タイムカプセルも開けました。
その中には、小学生時代、あまりおしゃべりが得意ではない子もいました。
授業中、発表をすることはほとんどありません。
友だちと相談タイムになっても、自分の思いを伝えることができません。
顔が真っ赤になって、うつむいてしまうことが多かった子です。
当時は心配したし、どうすればこの子がのびのびと語れるようになるかと、いろんなことをしました。
「教室はまちがえるところだ」の長い長い詩を教室にはってみたり。
答えやすいような問題を投げかけたり。
興味がわくような工夫をしたり。
話し方の基本形を教えたり。
声を出すことが平気になるように、詩の音読を国語の授業で取り入れたり。
となりの人とのペア学習をしてみたり。
まずは考えをノートに書いてみるようにしたり。
安心して話せるような、温かい学級づくりを意識したり。
ちょっとのことをほめたり。
本人にも、「大丈夫だよ。」「安心して。」「自信を持って。」
いろんな励ましもしました。
でも、その子の声を聴くことはなかなかできませんでした。
成人式の日、その子も来ました。
すごくたくさんしゃべりました。
友だちとも、私とも。
楽しそうでした。
その子の声をこんなに聴いたことはありませんでした。
うれしくてうれしくて、この子とお話ができて、成人式に来て良かったと心から思いました。
「こんなにたくさんお話しできて、うれしいよ。」
と言いました。
その子は、
「そうでしょ。わたし子どもの頃はおとなしかったから。」
と言いました。
その子はさらにこう言いました。
「でもあのころも、本当はもっと話がしたいなぁと思っていたよ。」
続けて、
「先生が一生懸命、わたしのためにしてくれてたことも分かってたよ。」
その子は、中学生になっても、おしゃべりは苦手だったようですが、高校生になって本人もびっくりしたくらい、おしゃべりになったそうです。
きっかけは、友だちだったようです。
なんでも話せる親友ができて、おしゃべりが楽しくなったようです。
恥ずかしがり屋さんで、おしゃべりが苦手で、発表がなかなかできない子もいます。
でも、あわてなくてもいいんだな。
いつか、話せるようになる。
その日は必ず来る。
その日が来るために、わたしたち小学校の先生は
せっせせっせと、種をまく。