私の家の本棚には、「兎の眼」という本が5冊並んでいます。
高校の先生が紹介してくださり、小学校の先生を本気でめざすきっかけになった本です。それが1冊目の兎の眼。
2冊目は大学生の時にいただいたものです。。教育実習がうまくいかなくて「自分は学校の先生に向いてるのかな?」と悩んだときに私を担当し、指導してくださった先生が「この本読んでみるといいよ。」とプレゼントしてくれたものです。
3冊目は教師になって4年目、山の中の小さな学校に赴任したときです。4年もたったというのに、授業がまるでうまくいかなくて、学級の子どもたちのパワーに負けそうになっていたとき、町の小さな本屋さんで、見つけました。表紙は日に焼けて黄色くなっている「兎の眼」を見つけておもわず買ってしまいました。
4冊目はその後、ある学校で、目の前の子どもの指導に困り果てていた時に手にしました。
5冊目は最近のことです。尊敬し、憧れていた先輩の先生がお亡くなりになり、その先生が担任をしていたクラスを引きつぎました。ショックを受けて元気のない子どもたちを目の前にしたとき、この子たちが立ち直るためにがんばりたいと決意しました。その決意のために5回目の「兎の眼」を読みました。
ふりかえれば、つらいとき、うまくいかなかったとき、「兎の眼」の中の主人公。若い新米教師「小谷先生」が、私の背中をおしてくれました。「兎の眼」がなかったら、今の私はないと言ってもいいくらいです。
読書の秋、子どもたちはどんな本と出会うでしょうか。今年は読書活動を充実させようと、保護者の皆様の読み聞かせのやり方を変えました。先生方も、読み聞かせをしています。
朝の読書の時間、クラスを回っていくと、昨年よりも集中して読書をしていると感じます。
保護者の皆さんも、この秋、じっくり読書をしてみるとどうでしょう。私からのお薦めは、「兎の眼」です。ぜひどうぞ。