卒業生の皆さん。わたしたち牧之原小学校の先生は、みなさんを、牧之原中学校に送り出せることを、とても誇りに思っています。それは、皆さんが、本校の伝統を立派に引き継ぐと共に、自分たちで考えた工夫を加えて、その中に、自らの確かな成長の姿を描き、実現させていったからです。
新型コロナウイルス感染症の感染予防と、感染拡大防止対策が学校生活の中で最優先になってしまい、できないことがたくさんある1年間でした。そんな中で、できないことに悲しんでいるのではなく、じゃあ、なんだったらできるんだろうと考え、これまで本校にはなかった様々なことを提案し、それを実現させてきました。
皆さんのそんな挑戦と夢の実現は、きっとこれからの新しい伝統となり、今、後ろにいる在校生が引き継いでくれることでしょう。
やってみたいことを次々に叶えてきたみなさんですが、夢というものは、そう簡単に叶うものではありません。ほとんどの人の夢は、叶わないまま終わってしまうものです。あきらめなければいつか必ず夢が叶うなんて、そんなに世の中、甘くありません。夢を叶えることは簡単ではありません。牧之原小学校に来てくださった、オリンピアン、竹澤健介さんは、華やかな世界で注目を浴びるその影で、普通の人だったら耐えられない、厳しい練習をしてきたとおっしゃいました。ほとんどの陸上選手は、自分の限界に気づき、夢をあきらめるしかないとのことです。
これからの人生の中で、自分が自信があったことであっても、自分よりも優れた人がいることを目の当たりにしていきます。自分は努力しているのに、どうしても届かない、もどかしさを感じることもあるでしょう。つまずくこともあるし、転ぶことだってあります。そんな時、みんなはどうするでしょうか。あきらめますか。それとも、夢は叶わないという不安を持ちながらも、続けますか。
みんなだったら、前に進み続けるんだろうなと思います。1つの夢が叶わなかったら、違う夢を持てばいいだけのことです。まさに、感染症によりあきらめなければいけないことがあったのに、「これならできるかも」と新しい提案を次々にしてきたこの1年間のように。
ですから、わたしたちは、楽しみでたまらないのです。みんなが牧之原中学校に進学をして、今度はどんなことを中学校の先生に提案していくんだろう。今度は、牧中の校長先生を困らせてみなさい。「牧之原台地をこのように開発してほしい。」という壮大な夢を杉本市長に提案して、市長を困らせてみなさい。夢を語れるのは、子供時代の特権です。
みんなには、勇気がある。みんなには優しさがある。そして、6年生になり、夢を描ける力もついた。自分にとって本当に大切なことはこれなんだと、自信を持って判断を下し、心の眼を持ち、さらにその眼を、心を磨きながら、たくさんの夢を描き続ける幸せな人生を歩んでください。
さあ、卒業生の皆さん、いよいよ旅立ちの時です。皆さんの未来は希望に満ちています。卒業生1人1人の未来がすばらしいものであることを願い、式辞と致します。