校長先生と、教頭先生と、わたしの三人で、体育館から職員室にもどる途中、体育館シューズ置き場まできたときのことです。目の前に綿ぼこりが固まったようなごみが落ちていました。わたしはそのごみに気づきました。
校長先生がそのごみを拾いました。わたしたちと会話をしながら、すっと拾いました。自然な感じでした。そこから、校長先生の話されていることが、どこかに跳んで行ってしまい、考えていました。自分はそのごみを拾う気持ちがあったかなぁって。素通りしていたかもしれないなぁって。
ほんの2メートル先に、なんと次のゴミが落ちていました。今度は校長先生が気づかず、教頭先生が拾いました。校長先生のお話を聴きながら、すっと拾いました。これまた自然な感じでした。
わたしは校長先生のお話がまったく耳に入らず、床を見ながらついていきました。校長先生が拾って、教頭先生も拾って、なんだか自分も拾わないといけないような気持ちにもなって。お二人が自然な感じですっと拾ったのが、かっこよく思えてしまって。ですが、残念なことに、職員室にたどり着くまでの数メートル、ゴミは一つも落ちていませんでした。わたしは、なんとなくくやしくなって、落ちてもいないゴミを一つ拾ったようなふりをして、職員室に入り満足しました。校長先生、教頭先生は、拾ったゴミを職員室のゴミ箱に入れていました。わたしも一応、手の中にゴミがあるつもりで、ゴミ箱に見えないゴミを入れました。「あ~。いいことしたなぁ。」って、なぜか満足していました。