6年生の栗田まほさんが、見事ジャンプ王になりました。6分間の曲を跳び続けました。
まほさんが、このジャンプ王にかけた思いを知っていました。
最初、ジャンプ王への挑戦権を手にしたのは、3年生のスーパー4人組。
まほさんより先に、ジャンプ王の挑戦を2週にわたって行いました。
まほさんは、挑戦できる3年生を見ていることしかできません。
だって、自分はまだ18段。
19段の技の難しさに、何度も失敗してきたからです。
自分も、3年生のように、ジャンプ王挑戦のステージに立ちたい。そう思っていました。
だから、毎日朝に、19段に挑戦し続けました。
失敗、失敗、また失敗。
19段の壁は厚く、失敗の連続です。
でも、まほさんはあきらめません。挑戦を続けます。
まほさんがあきらめないで挑戦ができたのは、まほさん自身の強さがあったからです。
それは十分分かっています。でも、それだけではありません。
どんなに強いまほさんでも、あきらめてしまいそうなときはあります。
では、なぜがんばれたか。
それは、友達の支えです。
まほさんの本気の挑戦を、ずっと応援し続けた友達の存在があったからです。
失敗しても、失敗しても、「どんまい。」と声をかけてくれる友達。
その「どんまい。」があったから、まほさんは挑戦する炎を消してしまうことがなかったのです。
ついに19段が合格しました。
まほさんは大喜びで、職員室にやってきました。
「教頭先生、やったよ。19段合格できた。」
そのあと、廊下で他の6年生とすれ違いました。
その誰もが、わたしにこう言いました。
「教頭先生、まほさん19段になったよ。すごいら。」
「教頭先生、まほさんがついにジャンプ王に挑戦するよ。」
「6年生の意地だよ。」
ジャンプ王挑戦中、まほさんは何を考えていたでしょう。
無心だったかもしれません。
とにかく目標にしてきたジャンプ王になりたい。
でもきっと、「友達のために」という気持ちもあったはず。
今まで自分を励ましてくれた、友達のためにもジャンプ王になりたい。
そんなことも考えていたはず。
一人はみんなのために、みんなは一人のために
それがまほさんのジャンプ王につながったはず。
学校とはそんなことを学ぶ場です。
漢字を覚えて、計算を覚えて、かしこくなって
それだけが学校じゃなくて、友達と学び支え合うことで、
人を大切にすることを学ぶのが学校です。
自分のためだけじゃなくて、友達のためにも跳ぶんだ。
そんなまほさんの姿を全校のみんなで見たことで、そんな思いは広がります。
一人はみんなのためにみんなは一人のために