2012/10/30 | 子どもの日記に助けられて |  | by:牧之原小教務 |
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今から5年前、わたしは教務主任となりました。担任をやることに生き甲斐を感じていたわたしにとっては、教務主任になるということはつらいことで、心がざわつきました。「4月から自分は大丈夫だろうか・・・。」
その不安は、現実となり、4月のスタート時から体にある異変が起こりました。左目がけいれんして、止まらないのです。唇も時々ぴくぴくけいれんしました。心臓の鼓動はいつもより大きくなっている気がして、じっとしていたくないような、そわそわした変な気持ちになって。
わたしの異変に真っ先に気づいたのは奥さんです。「大丈夫だよ。とっくんだったら、できるよ。」と励ましてくれました。その励ましの言葉がとてもうれしかったのですか、左目のけいれんは止まりません。がんばらないとと自分に言い聞かせても、心がどうしてもだめでした。「担任をしたい。担任をしたい。」そんな気持ちをなくすことはできません。
家から学校まで、まっすぐ通勤することができなくなりました。勝間田公園に立ち寄り、深呼吸をしないと行くことができません。学校が終わり、まっすぐ家に帰ることができなくなりました。勝間田公園の駐車場で、何度も何度も深呼吸をしてやっと家に帰ることができます。そんな日が何日か続いたある日のことです。
その日も、なんとかがんばって、心はよれよれになりながら、勝間田公園までやってきました。あたりは真っ暗です。時間もおそくて、人影のない公園で、車から出ると何度も深呼吸をしようとしました。ふと空を見ました。すると、星がとてもきれいでした。ここ数日ここに来ているのに、頭の上がこんな星空だったということには気づきませんでした。その時思い出したんです。最後に担任をした、4年生の子どもの、ある日の日記を。「そういえば、星空の日記を書いた子がいたなぁ。」その日記の内容は、ほとんど覚えていたので、口からすらすら出てきました。
すると、不思議なことに、目の震えがぴたっとやんでしまいました。心臓の鼓動も、ようやく元に戻りました。体からふっと力が抜けて、気持ちが楽になったんです。その日記がこれです。
「星」
今日の剣道はビシビシおこられました。それは、12月9日に、剣道の試合があるからです。わたしはすごくおこられて、しょんぼりしながら車へ向かいました。車に乗る前に空を見ました。そしたら、星がいっぱいあってきれいだったので、ついつい、
「うわーっ、きれいだなぁー。」
と言ってしまいました。そうしたら、先生に怒られたことも忘れて、わたしは「星がはげましてくれたんだなぁ。」と思いました。
先生は、今日の星を見ましたか。先生がもしもあの星を見ていたら、元気が出てたと思うよ。
この詩がわたしを助けてくれました。
子どもの純粋さに、心がほっとする瞬間は何度もあります。子どもに助けてもらうことが何度もあります。わたしにとってのピンチも、子どもが救ってくれました。ですから、子どもたちのためにという気持ちを、いつももてるのだと思います。
今は、教務主任という仕事の楽しさを知り、もりもりがんばれます。不安な気持ちになることなんてありません。楽しくてしかたないです。でも、時々うまくいかなくて、ため息が出ることがあります。そんな時は、星空を眺めながら、あの詩を思い出しています。