大阪なおみ選手が、全豪オープンで二度目の優勝というニュースがありました。大阪選手は、わたしも大好きですから、うれしいです。大阪選手の活躍のニュースを検索して、あちこち見ました。
でも、今回の全豪オープンで、心に残ったのは、セリーナ・ウイリアム選手。準決勝で、大阪選手に完敗して、試合後の記者会見を途中で止めて、泣きながら消えていったあの姿です。わたしの世代になると、あのセリーナ・ウイリアム選手の気持ちが良く分かるんです。
まだ若く、どんどん力を付けていく大阪選手。対するセリーナ・ウイリアム選手は三十代後半で、体力的にも技術的にも、今後伸びるということは難しいです。大阪に惨敗して、何を思ったでしょう。「引退」という文字がちらついたのかもしれません。
と、ここまでの文章から、わたしが伝えたいのは、大阪選手かセリーナ・ウイリアム選手のことだと思われるかもしれませんが、そうではなく、セリーナ・ウイリアム選手のコーチのことです。パトリック・ムラトグルという一流のコーチです。そのコーチは、セリーナ・ウイリアム選手が記者会見で途中退席する姿を見て、SNSでこんなメッセージを送っています。
「セリーナ、あなたが何度も何度も挑戦することをわたしは知っています。そして、あなたがそれを成し遂げて誇りに思うまで、わたしは側にいます。」
このメッセージがとてもいいなと思ったんです。特に、「わたしは側にいます。」というところ。
子供たちに、「失敗してもいいから、挑戦しよう。」と大人達は言います。保護者の皆さんも言ってませんか。しかし、いざ子供たちが失敗をした時、わたしたち大人はどんな言葉かけをしているでしょう。どんな言葉かけが傷ついた子供の心を救えるのでしょう。まさか、失敗したとたん、ころっとひっくり返って、責めるなんてことをする大人は失格です。ほっとくというのもどうかと思います。失敗してもいいという言葉を口にしたからには、もしも子供が失敗してしまったとき、プロの教師として、親として、ふさわしい言葉かけがあると思うんです。
「どんまい。」「気にするな。」「またがんばればいいよ。」そんなことぐらいしかわたしは言えてません。「早く忘れろ。」なんて、無責任なことを言うこともあります。そんな言葉しか言えないなんて・・・。子供が本当に失敗するたびに自己嫌悪です。
その答えを、パトリック・ムラトグルが教えてくれたような気がしたんです。
「わたしは側にいます。」
気持ちを切り替えて、今すぐやり直そうではなく、その失敗を受け入れて自分の力で立ち直ろうとする君のそばにいるよって。人間はそこまで弱い生き物ではなく、しなやかに立ち直る力を持っていて、その力を使ってもう一回立ち上がろうとするその近くで、君のこと信じて側にいてあげるよって。
「セリーナ、あなたが何度も何度も挑戦することをわたしは知っています。そして、あなたがそれを成し遂げて誇りに思うまで、わたしは側にいます。」
いい言葉だなぁと思います。