2021/03/04 | 歌声を取り戻せ | | by:校長 |
---|
コロナウイルスにより全国の学校から消えたのが、音楽です。歌うことができない。口を使う楽器の演奏ができない。そんな日が続きました。
家の娘は、高等学校の合唱部です。でも、この一年は、あまり歌っていないそうです。コンクールもなくなり、文化祭の披露の場もなくなりかわいそうでならないです。
わたしは、地区の音楽部を担当しています。静岡県の音楽の研修会も担当しました。先日、その音楽部研修会の集まりに参加をした際に、県下の音楽の先生と、たっぷりお話をしました。子供たちの歌声が学校から消えてしまったことを重く受け止めていました。
この一年音楽を我慢してきた先生達にとって、卒業式の歌がどれだけ重要か、熱く語っていました。音楽が消えた学校で、この日はみんなの前で子供たちが堂々と歌える日。音楽の火を消さないという気持ちで指導してほしいとのことでした。その熱い熱い言葉に感動しました。確かにその通りです。
「卒業式の、歌の瞬間だけは、コロナを忘れて、子供たちに伸び伸びと歌わせてあげたい。そのためには、マスクを取りたい。マスクを取って、卒業生には、小学校生活最後の一曲を、思いっきり歌わせてあげたい。」
このことについて、みなさん、どう思われますか。特に、6年生の保護者の皆さんに問いたいです。そうは思いませんか。
歌声は牧小の子どもたちの自慢だったんです。合唱コンクールがあった頃、毎年人数は少なくても伸びやかに歌う牧小の4年生に、感動していました。わたしはいつも、会場の裏方にいましたが、そこで一緒に聴いている音楽の先生達は、「牧小の子供たちの歌声は、いつもいいねぇ。」という会話がされているんです。
でも今は、その自慢の歌声も学校の中で聞こえてきません。歌ったとしてもマスク越しです。今でも牧小の子供たちの歌声はすてきなんでしょうか。確かめることもできません。
子供たち、校歌覚えているでしょうか。子供たち、歌うことが好きでいてくれるでしょうか。子供たち、歌うことの喜びを覚えているでしょうか。
来年度は、何とかして、工夫して、子供たちの歌声が戻ってくるようにしたいです。
サマーコンサートで、独唱をした子は何人もいたんです。ウィンターコンサートで、合唱をした1年生は、とろけるくらいにかわいかったんです。6年生は、卒業式で、体育館の壁も震わせるくらいのCOSMOSを歌い、その場にいる大人が全員泣いてしまったんです。それが牧小の音楽だったんです。
マスクをしながら、深く息を吸い込むことを一年間してこなかった6年生の肺は、体育館を響かせるような歌声は無理かもしれません。伸び伸びと歌うことが許されないという雰囲気が、歌うことの喜びを忘れさせてしまいました。でも6年生の子供たちには、思い出してほしい。「君たちは、とっても歌が上手だったんだ。」そんな6年生の歌声を卒業式で聴きたいし、6年生にそんな合唱をさせてあげて、卒業させたい。小学校生活最後の歌が、マスクだなんて、それでわたしたちは後悔しないだろうか。