胸を張れ
1年生が帰った後の、1年生の教室。みなさんはどう思いますか。とてもきれいな教室環境です。
でも、それだけじゃありません。
わたしの目に入ったのは、オレンジ色のお道具箱です。たった一つだけ、オレンジ色の古いお道具箱がありました。
古いお道具箱は、お姉ちゃんの使ったものか、近所の誰かが使ったものか、それは分かりませんが、とにかくだれかのお古です。そのようなお道具箱を使っている子はほかにいないのに、そのお道具箱を大事に大事に使っているのです。すごいと思いませんか。
わたしだったら、すぐに親に言っちゃうと思います。
「お母さん、新しい買ってよぉ。」って。
もしもわたしの子がそんな子を言い出したら、すぐに買っちゃうと思います。普段から、「ものは大事に使いなさい。」って言いながら、買ってしまう親の一人です。
そのお道具箱を当たり前のように使っているその子は偉い。
そして、そのお道具箱を使わせている保護者も偉い。
もっと言うと、紙でできているのに、大切に使って自分の妹に渡すことができたお姉ちゃんも偉い。
今年大リーグを引退したイチロー選手。イチローは、フォアボールになったとき、他のバッターと違うことをやってました。フォアボールになった時、ほとんどのバッターは、バットをぽーんと放り投げて一塁へ向かいます。それが当たり前の姿です。しかし、イチローがフォアボールになったときは、バットを静かに地面に置いて、しかも、音がしないくらいに丁寧に置いて、一塁へ歩いています。それほどイチローは、自分の道具を大切に扱う選手でした。イチローのように一流になるためには、ものを大切にする心が大切なんです。
教室で子どもたちの筆箱を見ることがあります。そんなときに、いいなぁと思えるのが、1年生の時に買ってもらった筆箱を6年生になっても大事に使っている子がいることです。1年という文字の上に何回も上書きして、6年と書いてある筆箱を見ると、「この子はものを大切にする心があるんだなぁ。」と感心してしまいます。
このオレンジのお道具箱を使っている子は、イチローと同じです。その保護者も、家族も、ものを大切にするイチローです。
オレンジのお道具箱は、胸を張っていいと思います。
