6年担任酒井先生が普段大事にしていていること。それは、じっくり時間をかけて子どもの話に耳を傾けるということ。なかなかできることではありません。
5年生担任の大塚先生も、クラスの中で何かトラブルがあったとき、まずは聞き役に徹しています。
子どもの話に耳を傾け、しっかり聴いてあげることが大事だとは分かっていても、ついついいい加減になりがちで、反省します。
数年前・・・。
「先生、助けてやぁ。背中を押してあげてほしいやぁ。」
以前担任した子どもの保護者からの電話。冬休み最後の日の夜、会いに行きました。「何かアドバイスの一つでもしてやろう。」と思いながら行きました。
小学校のことを懐かしみ、2時間。その後私が帰る時間になって、その子が、
「先生、外まで送るよ。」
と言ってくれて、二人でぶらぶら夜道を歩きました。なにやら言いたいことがある様子、その子が口を開くのを待ちながら歩いていたら、車が止めてある空き地も通り過ぎて、それでもその子はまだ言えなくて、車を通り過ぎてずいぶん二人で歩きました。話し出す決心がつくまでに、そこから約1キロの道のりがかかりました。
「お父さんとお母さんにも、クラスの先生にも言えてないんだけど・・・。」
で始まり、学校で苦しい思いをしていることを語り始めました。最初は絞り出すように。途中からは涙声で。心の中でもやもやしていたものをはき出すかのように。私は歩きながらただただ聞いているだけでした。長い話が終わるころには、その子の涙も止まっていました。
約1キロ行き過ぎてしまったので、そこからまた二人で約1キロ戻りました。帰り道にはまた、楽しい話になり、ゲラゲラ笑いながら歩きました。別れ際には、
「先生、ありがとう。」
と照れながら言って、手を振って別れました。
その子の後ろ姿を見送りながら、「自分は背中をおせたのかな。」と考えていました。
子どもの背中を押してあげるのが大人の役目の一つ。「アドバイスをしてあげよう。」なんて思わず、ただただ子どもの話を聴いてあげることも大事なんだなぁということをわたし自身が学んだ瞬間でした。