2013/02/27 | なくなったサッカーボールと言葉の力 | | by:牧之原小教務 |
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2月24日(日)、わたしは子どもが所属しているソフトボール少年団のコーチを、相良小の運動場で行っていました。その日は風があまりにも強く、ソフトボールがあっちにころころこっちにころころ。わたしたちが練習している横では、相良小の女の子たちがサッカーをして遊んでいました。10人ぐらいはいたと思います。その子たちも、強い風の影響でボールのコントロールがうまくできないでいました。それでも楽しそうに遊んでいました。
途中、竜巻のような強い風が突然吹き荒れました。運動場の砂ぼこりが辺り一面を覆って、目を開けることもできない状態になり、練習は中断しました。その強烈な風がようやくおさまったとき、女の子たちが使っていたサッカーボールは、どこかにいってしまいました。みんな砂ぼこりに目を開けていられなかったので、ボールがどこに転がっていったか、分からないのです。ボールはその中の一人の子が家から持ってきたというボール。とても困っていたので、チームのみんなもボール探しに協力しました。しかし、ボールはありません。どこをさがしてもありません。長い時間みんなでさがしましたが、どうしても見つけ出すことはできませんでした。すると、持ち主の女の子がやってきて、
「ありがとうございました。練習の邪魔になってしまうので、ボールはもういいです。みなさんは練習を続けてください。」
と言いました。とてもしっかりしている子だなぁと思い、学年を聞きました。女の子たちは、4年生でした。それにも驚きました。こんなにしっかりお礼が言えたので、6年生かなと勝手に思い込んでいたのです。
チームのコーチや他の保護者とその話をしました。
「今時あんなにしっかりした言葉が言える子がいるんだなぁ。」
そして、チームの子どもたちには、
「おまえたちも見習いなさい。」
と、半分お説教になってしまい、みんなしょぼーん。
お父さんたちが車で町中まで探しに行き、ようやく発見されました。ボールを渡すと女の子たちはみんなして、
「ありがとうございます。」
と、またもやしっかりとしたお礼を言いました。本当にすばらしい。
その後、わたしたちは練習を再開しました。女の子たちも、見つかったボールで楽しそうにサッカーをやっていました。
12時の放送があり、ソフトボールの練習が終わりました。ベースやネットの片付けをみんなでしていました。すると、遊びをやめた女の子たちが、また近づいてきました。なにかなぁと思ったら、こんなことを言いに来たのです。
「今日はありがとうございました。練習の邪魔をしてしまって、すいませんでした。」
深々と頭を下げて帰って行きました。
さわやかな気持ちになったのは、わたしだけではありません。コーチも。チームの子どもたちも。
言葉には、人をさわやかな気持ちにさせるすごい力があるのだと、最後に話をして、練習が終わりました。