般若寺というお寺があります。ずいぶん前になりますが、わたしが相良小で教師をしていた頃、遠足でこの般若寺にやってきました。そのお寺の入り口にあった張り紙が「念ずれば花ひらく」という言葉でした。
子どもたちとお弁当を食べているとき、和尚さんがきたので、その言葉の意味を聞いてみました。すると、その言葉は仏教からきている言葉で、どのような願い事であっても、それを心に思い続けていれば、いつか必ず、花が咲くように叶うものなんだという意味だと教えていただきました。いい言葉だなぁと思い、その言葉が好きになりました。
わたしは、奏斗さんを見てきて、その言葉を思い出しました。奏斗さんが運動会までに見せてくれた姿は、まさしく「念ずれば花開く」でした。
奏斗さんは、最初協力平も、友情ソーランも決して上手とは言えませんでした。どちらかといえば、自信がないような動きでした。でも、「いつか上手になりたい。堂々と踊れるようになりたい。」という目標を持ったのです。その日から、奏斗さんは練習を続けてきました。家でもがんばっていきました。みんなが見ていないところでも、いつか開く花びらを信じて、踊り続けてきました。
奏斗さんは、組み体操の中でどうしてもできない、苦手なことがありました。それは、アンテナとブリッジです。みんなのように腰があがらず、ぐらぐらしたアンテナ。みんなのように美しい弓の形にはなれないブリッジ。すると奏斗さんは、それらができることをまた目標として、家で猛練習するのです。
その後、奏斗さんがどんなったかは、みなさんも知っているはずです。体育館練習の最終日、みんなの前でやってもらいましたから。そして、みんなが拍手してくれましたから。
努力を続けてできるようにするなんて、口で言うのは簡単。本当に花開くまで、あきらめずにがんばれるかどうか。奏斗さんは、それができる人なんですね。
