教え子の中には、小学生時代、おしゃべりが得意ではないという子もいます。授業中、友だちと相談タイムになっても、自分の思いを伝えることができません。顔が真っ赤になって、うつむいてしまう子もいます。
でも、そんな子が大きくなって、街で出会うと、たくさんしゃべってくれたりします。
数年前、成人式に出席したとき、わたしが担任した子供たちの中で、おしゃべりが苦手だったのに、驚くほど、話しかけてくれてうれしかったということがあります。
「こんなにたくさんお話しができて、来てよかったよ。」
とその子に言ったら、その子は、
「びっくりしたでしょ。わたし子どもの頃は話すのだめだったから。」
と言いました。その子はさらにこう言いました。
「本当はみんなや先生と話がしたいなぁと思っていたよ。先生や友だちが、わたしのことを考えて、いろんなことをしてくれてたことも分かってたよ。」
その子は、中学生でもおしゃべりは苦手だったようですが、高校生になってがらっと変わったそうです。ある日突然、平気になったそうです。なんでも話せる親友ができて、おしゃべりが楽しくなったようです。
恥ずかしがり屋さんで、おしゃべりが苦手で、発表がなかなかできない子もいます。でも、あわてなくてもいいんです。
いつか、話せるようになる、その日は必ず来る。その日のために、「いつか話せますように。」って、今はせっせと種をまけばいいんだなって思いました。
保護者の皆さん、今はできないことがいろいろあってもいいんですよ。今は、わたしたちといっしょに、せっせせっせと、種をまきましょう。